FX詐欺は警察に相談すべき?報告前の準備と騙されないための方法
FX詐欺に遭った場合は警察に相談して被害届を提出すべきです。
ただし、被害届は必ず受理してもらえるものではなく、返金請求は警察の管轄ではありません。
本記事は、警察に相談することのメリットとデメリット、被害届提出前の準備について解説します。FX詐欺にはそもそも遭わないことが重要です。騙されないための方法も紹介します。
FX詐欺は警察に相談すべき
FX詐欺に遭った場合は警察に相談すべきです。警察に相談して被害届を提出することには多くのメリットがあります。
まずは警察相談専用電話(#9110)に電話し、相談しても良いでしょう。受付時間は平日8:30~17:15です。
警察への相談にはデメリットもあるため、事前に把握しておくことをおすすめします。
FX詐欺を警察に相談するメリット
FX詐欺を警察に相談するメリットは、被害届の提出により詐欺師逮捕の可能性が生まれる点です。
被害届は犯罪被害に遭ったことを警察に申告する書類であり、犯人が特定できない場合も提出できます。警察の捜査が開始されて詐欺師の身元が判明すれば、返金請求が可能になります。
被害者が警察へ相談したことを知った詐欺師は、刑罰を恐れて示談に前向きになるため、返金に向けた交渉を有利に進められるかもしれません。
警察にFX詐欺の被害を報告すると注意喚起が行われ同様の被害が減る点も、メリットとして挙げられます。
FX詐欺を警察に相談するデメリット
FX詐欺を警察に相談するデメリットは、被害回復を自力で行う必要がある点です。警察には私人間トラブルに関与すべきではないという民事不介入の原則があり、返金請求は被害者が自力で行わなければなりません。
また、被害届は証拠不十分と判断された場合は受理されない恐れがあるため、相談に行く際は証拠の準備が重要です。
警察のみに相談していた場合は捜査の進展を待つしかなく、解決が遅れがちです。詐欺師の逮捕よりも返金を重視する場合は、警察以外の相談先を頼ることも必要でしょう。
警察にFX詐欺の被害届を提出する際の準備
警察にFX詐欺の被害届を提出する際は、以下の準備が重要です。
- 詐欺師の情報を集める
- 取引や送金の履歴を整理する
- 手口や騙された経緯をまとめる
それぞれの説明を参考にして証拠の確保と保管に努めてください。
詐欺師の情報を集める
FX詐欺を警察に相談する際に提供できるよう、詐欺師の情報を集めましょう。次のような情報が有用です。
- 詐欺師の名前・住所・電話番号・メールアドレス
- 業者の名前・住所・電話番号・Webサイト
- 振込先の口座情報
- やり取りで知った詐欺師の情報
Webサイトやインターネット上のやり取りは、詐欺師が削除する前にスクリーンショットを撮っておきます。
証拠が少ない場合、インターネットで検索すると、ほかの被害者からの情報が得られるかもしれません。詐欺師・業者の名前やWebサイトのURLに「詐欺」を追加して検索してください。集団訴訟の準備が始まっている場合もあるため、「被害者の会」を追加して検索することも有効です。
取引や送金の履歴を整理する
FX詐欺を警察に相談する際に被害について説明できるよう、振込明細や銀行の通帳、領収書などを確認し、取引や送金の履歴を整理しましょう。
お金の移動があったことを示す客観的な証拠が必要なため、警察への相談時はコピーを用意して提供します。
被害届は、被害額が少額であると受理してもらえないことが多い一方で、被害が大きい場合は証拠不十分でも受け付けてもらえるケースがあります。正確に被害金額を算出しておくことが今後の対応を考えるうえで重要です。
手口や騙された経緯をまとめる
FX詐欺の被害を警察にスムーズに説明できるよう、手口や騙された経緯をまとめてください。文書に記載すべき内容は、次のとおりです。
- 詐欺師と出会ったきっかけ
- 勧誘内容
- 被害に遭った日時と経過
- ほかの被害者からの情報
詐欺罪を立証するには、詐欺師の説明に嘘があり、被害者が信じて騙されたと示すことが重要です。
騙された事実に向き合わねばならないため、精神的苦痛が強すぎる場合は相談先のサポートを得たあとで行なっても良いでしょう。
FX詐欺の警察以外の相談先
FX詐欺の警察以外の相談先は、次のとおりです。
- 消費生活センター
- 適格消費者団体
- 金融サービス利用者相談室
- 金融機関
- 弁護士
それぞれ強みが異なるため、警察への相談に追加して利用することを推奨します。説明を参考にし、自身の状況に合わせて相談先を選択してください。
消費生活センター
FX詐欺かもしれないと気づいた場合は消費生活センターに相談しましょう。消費者ホットライン(188)に電話をかけると、地域の消費生活相談窓口を案内してくれてスムーズです。
消費生活センターは一般市民向けの窓口で相談しやすく、FX詐欺への今後の対応についてアドバイスがもらえます。疑わしい業者名の照会が可能であり、詐欺かどうかの判断に有用です。
ただし、消費生活センターは基本的に被害回復を直接サポートしてくれる機関ではありません。返金請求したい場合は、相談員のアドバイスを受けながら被害者自身で行う必要があります。
適格消費者団体
FX詐欺に遭った場合、適格消費者団体も相談先の一つです。適格消費者団体は、消費者保護を目的とした法人であり、被害回復のサポートや業者に対する差し止め請求を行います。
全国の適格消費者団体一覧から最寄りの団体を調べて、詐欺被害の通報をしてください。
適格消費者団体のなかの「特定適格消費者団体」は、集団訴訟を起こして返金手続きを行い、被害者全員に分配します。
提訴するかの判断は特定適格消費者団体が行い、被害者個人が求めることはできません。返金額が被害者全員に分配され、十分な額を回収できない可能性があることがデメリットです。
金融サービス利用者相談室
FX詐欺の相談先には金融庁の金融サービス利用者相談室もあります。
金融サービス利用者相談室は金融関係全般の相談窓口で、詐欺かどうか判断に困っている方におすすめです。電話やWeb、郵便などで相談を受け付け、電話で回答してくれます。金融の専門家からのアドバイスを得られ、状況の整理に有用です。
直接仲介やあっせんをしてくれる機関ではなく、被害回復を考える場合は他機関を紹介されます。最初から返金の相談をしたい方にはほかの相談機関が適しています。
金融機関
FX詐欺で口座振込を利用していた場合は金融機関に相談し、振り込め詐欺救済法の活用ができないか検討しましょう。金融機関は、振り込め詐欺救済法に基づいて詐欺師の口座残高を被害者へ分配してくれる可能性があります。
活用するためには警察に被害届を提出し、犯罪被害金であると認められることが必要です。
詐欺師がすでに口座からお金を引き出したあとで、分配できる残高がない場合は救済されません。手続きに時間がかかることを考慮し、迅速に対応してください。
弁護士
FX詐欺に騙されて返金を求めたい方は法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
返金請求の手続きは複雑なため、法律の知識のない被害者が自身で調べて手間取ると、詐欺師に逃げる時間を与えてしまいます。
被害者の代理人として弁護士に返金請求を一任すると幅広いサポートを得られ、返金の成功率が高まります。証拠の準備についてアドバイスをもらえ、被害届の提出もスムーズです。
FX詐欺は返金が困難な事例もありますが、弁護士に相談すれば効果的な対応方法を選択してもらえます。FX詐欺の解決に強い弁護士へ被害回復を依頼しましょう。
FX詐欺に遭った場合は二次被害にも注意
FX詐欺に遭った場合は二次被害にも注意が必要です。二次被害とは、詐欺に遭った方が「返金に向けて助力する」と言われ、詐欺師に再びお金を騙し取られることです。
詐欺に遭うと個人情報が「騙されやすい人」としてリスト化され、詐欺師仲間に共有される場合があります。
詐欺師は消費生活センターや警察の職員、弁護士を騙るケースが多く、返金請求の手数料名目でお金を要求します。振り込め詐欺救済法の活用と称したり、特定適格消費者団体の通知を模倣したりするケースも報告されており、注意が必要です。
公的職員や弁護士から詐欺の被害回復について連絡してくることはないため、相手からアプローチがあった場合は大半が詐欺でしょう。
FX詐欺の被害を回避する対策
FX詐欺の被害を回避する対策は、次のとおりです。
- 金融庁に登録されているFX会社を利用する
- 投資にリスクはつきものと理解する
- SNSで出会った相手の投資勧誘に乗らない
それぞれの説明を参考にして、詐欺師に騙されないようにしてください。
金融庁に登録されているFX会社を利用する
FX詐欺に遭わないためには、金融庁に登録されているFX会社を利用しましょう。
金融庁の登録を受けたうえで金融取引業を営む会社は、投資者を保護する体制が整備されており、トラブルになった場合も安心です。
FX詐欺で誘導されることが多い海外のFX会社は無登録業者の可能性が高いため、取引にはリスクがあります。
金融庁に登録されているかどうかは、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」の「金融商品取引業者」で確認できます。FX会社は自身で調べて安全性を確認してから選択してください。
投資にリスクはつきものと理解する
FX詐欺に騙されないためには、投資にリスクはつきものと理解して詐欺師のアピールを無視することが重要です。
FX詐欺の手口では、次のような大げさな宣伝文句が使用されます。
- 誰でも簡単に稼げる
- 絶対儲かる
- 元本保証
- ノーリスク
- 期間限定
- あなただけ特別に
- 必勝法を教える
FXは常に損失が出る可能性があり、高い収益率を約束することは不可能です。金融商品の勧誘にはリスクの説明が義務付けられているため、ない場合は詐欺と考えてください。
SNSで出会った相手の投資勧誘に乗らない
FX詐欺でお金を騙し取られないために、SNSで出会った相手の投資勧誘に乗らないようにしましょう。
SNSは便利なコミュニケーションツールですが、匿名性が高く、相手が嘘をついていてもわかりません。特に、セレブな生活を楽しむ美男美女のアカウントは詐欺師の可能性があります。
趣味の話や情報交換を楽しむやり取りは安全ですが、相手が投資勧誘のようなお金の話を始めた際は警戒が必要です。
FX詐欺に遭った場合は当事務所へご相談を
FX詐欺に遭った場合の相談先は当事務所がおすすめです。詐欺被害の解決実績の豊富な弁護士が返金に向けて尽力します。
FX詐欺を警察に相談し、被害届を提出しても、逮捕に向けて動いてくれるかはケースバイケースです。返金を求める場合は法律の専門家に相談すべきです。
当事務所は電話・メール・LINEでの相談を受け付けています。ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。