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投資詐欺の返金に時効成立?詐欺罪を訴えられる期間について

投資詐欺の返金に時効があることをご存知でしょうか。詐欺には刑事事件の公訴時効と民事事件の損害賠償請求権の時効があり、定められた期間を過ぎると訴えられなくなります。

本記事は、投資詐欺の2つの時効と延長・停止する条件、時効成立前に返金を受ける方法について説明します。

 

投資詐欺の時効は2つ

投資詐欺の時効は2つ

投資詐欺に遭い返金を受け取りたいと考える際に考慮しなければならない時効は、民事と刑事の2つです。

投資詐欺の民事事件としての時効は3年であり、返金請求には期限内に損害賠償請求することが必要です。刑事事件としての詐欺罪の公訴時効は7年で、期限を越えると起訴できなくなり、詐欺師は刑罰を免れます。

時効にはそれぞれ細かな規定があるため、逮捕や返金を求める場合は状況を確認して迅速に対応することが重要です。

 

投資詐欺の民事の時効は3年間

投資詐欺の民事の時効は3年間

投資詐欺の返金請求ができる期間である民事の時効は3年間です。

民法で「損害賠償請求権は3年間行使しない場合は時効によって消滅する」と明記され、次のような点についてルールが定められています。

  • 投資詐欺の起算点
  • 投資詐欺の時効を延長する方法
  • 詐欺師が時効を主張しない場合

それぞれ詳しく説明します。

 

投資詐欺の起算点

投資詐欺の時効の起算点、すなわち時効の進行タイミングは「被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったとき」です。

投資詐欺に遭った場合、お金を支払った段階では詐欺と気づいていないでしょう。払い戻しを拒否されたり、相手と連絡が取れなくなったりして、詐欺と気づいた時点が「損害」についての起算点となります。

「加害者を知ったとき」は住所氏名が特定できた場合とされ、身元不明のままでは時効のカウントは進みません。損害賠償請求の訴訟を起こすには加害者の住所氏名が必要のためです。

ただし、詐欺の損害に気づいて加害者を探したものの、特定できないまま20年経った場合は時効になる点には注意が必要です。

 

投資詐欺の時効を延長する方法

投資詐欺の返金を求める時間と時効成立までの期間が短い場合、「時効の完成の猶予」や「時効の更新」をして延長できます。

「時効の完成の猶予」は時効期間の進行を一時的に止めること、「時効の更新」は経過した期間をリセットして新たにゼロから進行させることです。具体的には次のような方法をとります。

  • 被害者が催告を行う
  • 被害者が損害賠償請求訴訟をする
  • 加害者が賠償義務を承認する

催告は時効成立まで6ヶ月を切った状況で内容証明郵便を詐欺師に損害賠償請求し、一度だけ延長できます。

詐欺師の所在が不明で内容証明郵便の送付が困難な場合は、損害賠償請求の訴訟を起こすことで時効の延長が可能です。

詐欺師が詐欺を認める何らかの行為をしたり、少額でも返金したりした場合も、時効は更新されます。

 

詐欺師が時効を主張しない場合

投資詐欺の損害賠償請求権は起算点から3年後に自然に消滅するものではなく、詐欺師が時効を主張しない場合は不成立となる点は重要です。

定められた期間が経過してから被害者が損害賠償請求した際に、加害者が時効を主張することを「時効の援用」といいます。

被害者が損害賠償請求の訴訟を起こし、詐欺師が時効の援用をしなかった場合は判決に従わなければなりません。示談の場合も同様に、詐欺師が返金したあとで時効を主張しても認められないことになっています。

以下の記事では、投資詐欺に遭った際の返金方法や対処法について詳しく解説してます。

本記事とあわせてご覧ください。

投資詐欺は返金できない?被害金を取り戻すために行うべき対処法

 

投資詐欺の刑事の公訴時効は7年間

投資詐欺の刑事の公訴時効は7年間

投資詐欺の刑事事件としての公訴時効は7年間です。期間を過ぎると検察が起訴して刑事裁判にかけられないため、詐欺行為が明白でも詐欺師が刑罰を受けることはありません。

公訴時効は、民事事件としての時効の起算点や延長の考え方とは異なる点があり、注意が必要です。

 

投資詐欺の起算点

投資詐欺の公訴時効は、犯罪行為が終了した時点を起算点とします。具体的には、詐欺師がターゲットからお金を受け取って自身のものとした日です。

プロの詐欺グループのように共犯があったり、二次被害に遭ったりした場合は、最終の犯罪行為が終了した日が公訴時効の起算点となります。

投資詐欺では個人情報を利用され、二次被害に遭うケースが多発しています。詐欺の二次被害とは、過去に詐欺に遭った方が再び被害を受けることです。

詐欺師は警察や消費生活センターの職員、弁護士を装い、返金手続きのための手数料といった名目でお金を騙し取ります。詐欺に遭った方の情報が詐欺グループ内のリストに集約されていることがあるため、さらなる被害に遭わないように注意してください。

 

投資詐欺の時効が停止する期間

投資詐欺の時効は7年経てば必ず成立するわけではなく、時効の進行が停止する期間が定められています。時効が停止する条件は次のとおりです。

  • 検察が起訴した場合
  • 検察が共犯者の一人を起訴した場合
  • 犯人が国外にいる場合
  • 犯人が逃げ隠れし起訴状謄本の送達や略式命令の告知ができなかった場合

いずれかの条件に合致した場合、公訴時効は停止し期間が延長されます。

詐欺師が刑事事件で起訴され刑罰が科せられても、被害者が返金を受け取れるわけではありません。民事の返金請求とは別に手段を講じる必要がありますが、公訴時効が成立すると損害賠償請求が困難になる点には注意しましょう。

詐欺師は被害者と示談が成立すると不起訴や執行猶予の可能性が高まるため、返金請求に応じやすくなります。公訴時効が成立し処罰の恐れがなくなれば詐欺師側に示談に応じるメリットはなく、交渉は難航するでしょう。

 

時効成立前に投資詐欺の返金を受ける方法

時効成立前に投資詐欺の返金を受ける方法

時効が成立する前に投資詐欺の返金を受ける方法は、次のとおりです。

  • クーリング・オフ
  • 振り込め詐欺救済法
  • 詐欺師との直接交渉
  • 訴訟
  • 刑事告訴

それぞれの説明を参考にし、事情に合わせて返金請求方法を選択してください。

 

クーリング・オフ

投資詐欺の被害金の返金方法には、適用できる条件に合致する場合はクーリング・オフ制度の利用があります。

クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。

引用:クーリング・オフ|独立行政法人 国民生活センター

クーリング・オフを申請できる期間は契約成立後8~20日以内です。該当する方は活用を検討してください。申請方法は国民生活センターのホームページで詳しく説明されています。

 

振り込め詐欺救済法

投資詐欺に遭った場合の返金方法に振り込め詐欺救済法を活用できるケースもあります。
振り込め詐欺救済法は、詐欺師の口座を凍結して被害者へお金を分配する制度です。支払いの際に振り込み手続きを行った場合に利用できます。

振り込め詐欺救済法の活用には、警察への被害届の提出と金融機関への被害申告が必要です。金融機関が調査し、>口座が犯罪に利用されたと認められた場合に残高が申請した被害者全員に分配されます。

口座に残高がないと返金を受けられないため、詐欺師が現金を引き出す前に手続きすることが必要です。

参考:振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ|金融庁

 

詐欺師との直接交渉

投資詐欺に遭った場合、詐欺師との直接交渉で返金を求める方法もあります。

返金請求する旨を記載した内容証明郵便を詐欺師に送付してください。内容証明郵便は、郵便局が「いつ、誰が誰に、どのような内容で」文章を差し出したかを証明するサービスで、5年間記録が残ります。

内容証明郵便に法的拘束力はありませんが、詐欺師に返金請求をしたという証拠になります。時効成立まで6ヶ月を切っている場合は、一時的に進行を止められる手段です。

詐欺の証拠が揃っている場合は返金に応じてもらえる可能性がありますが、相手がプロの詐欺師なら言い逃れされる恐れがあります。被害者本人による返金交渉は成功する可能性が極めて低いといえるでしょう。

 

訴訟

投資詐欺の返金交渉に詐欺師が応じなかった場合は、損害賠償請求の訴訟を起こすという方法もあります。

一般的な訴訟である「通常訴訟」のほかに、60万円以下の金銭の支払いを求める「少額訴訟」があります。少額訴訟は1回の審理で終わり、被害者側の負担が少ないため被害額が60万円以下であれば検討してください。

訴訟を起こせる期間は、詐欺師の氏名と住所が特定できた時点から3年間です。訴訟には法律の知識が必要となるため、弁護士に相談して迅速に対応することを推奨します。

 

刑事告訴

投資詐欺の返金を受け取る方法として刑事告訴も挙げられます。

刑事告訴とは、被害者が捜査機関に犯罪の事実を伝え、加害者の処罰を求める意思表示をすることです。刑事事件として立件され逮捕された場合、詐欺師との示談交渉が有利になります。

被害届は警察に被害を伝えるための書類ですが、刑事告訴は捜査による逮捕や起訴までを要求するものです。有罪となる可能性が高い場合にのみ受理され、詐欺ではなく金銭トラブルであると判断された場合は刑事告訴できません。

受理される可能性を高めるには証拠の準備が重要なため、刑事告訴に関しても弁護士に相談すると良いでしょう。

 

時効前の投資詐欺返金のご相談は当事務所へ

時効前の投資詐欺返金のご相談は当事務所へ

時効が成立する前に投資詐欺の返金を受けたい場合は、当事務所へのご相談をおすすめします。投資詐欺の返金実績が豊富な弁護士が被害に遭われた方のために尽力します。

弁護士が対応すれば、時効の計算を間違えて損害賠償請求ができなくなるという事態を免れるでしょう。時効の更新や訴訟、刑事告訴などの法的手続きも一任でき安心です。

電話・メール・LINEでの無料相談を受け付けています。ぜひ一度当事務所へお問い合わせください。